アイヌの人々にとって、音楽とはカムイ(神)との対話手段のひとつ [愛奴通信:AINU journal]
トンコリ
は木製の細長い楽器。まるで舟のような形をしている。ブリッジが両端に固定され、弦が張られており、指でつま弾く音は独特の優しさを持つ。
「トンコリは一時期、廃れてしまっていたので、昭和20~30年台の音源を聞いて独学しました。研究者に尋ねても、文献や研究の中にはグルーヴ感はない。やはり、音楽の持つグルーヴ感の追求は自分自身でやるものだと思う」。廃れていた伝統的なトンコリを”発掘”していくと同時に、今の人に届く音作りも行った。奏者でありながらも、楽器制作を行うOKIさんは弦の数を変えたり、エレクトロニック・トンコリを制作したりと試行錯誤を繰り返した。そのかいあって、OKIさん率いる OKI DUB AINU BAND の評判は、国内はもとより、欧州やアメリカにまで及んでいる。
「地球は何千年もかけてグローバリズム化している。ギターのような合理的な楽器が現れたら、ギターを取るのが普通でしょう。だけど、グローバリズム化しすぎると、跳ね返していく波がある。それが伝統じゃないかな」と、若い世代を中心に、トンコリが再注目されている現状を分析する。
OKIさんには目標とする音があるという。「自分の中に響いているトンコリの音がある。演奏や、楽器作りを含めてその音に近づきたいですね」。OKIさんがトンコリを抱え、糸蔵を肩に載せる。両手の指で弦をつま弾くと、音が雨のようにこぼれてくる。音は体や心に染み渡る。
アイヌの人々にとって、音楽とはカムイ(神)との対話手段のひとつだという。願わくは、これからも歌声が、音が、祈りの声が北海道の大地に響きますよう。そして、多くの人々の心に届きますよう。もちろん、アイヌのカムイにも。
(文:井上秀樹)
…………
スペインのバルセロナあたりではアフリカから移民でやってきたアルジェリア人とモロッコ人が地元のフラメンコのギタリストとバンドを組むなんていうことは当たり前の出来事。人の流れとともに音楽もまた旅をする。島々が点在するこの日本列島を”弓の島”と名づけたのは確かアメリカインディアンだが、この島々を旅し、耳をすませば聞こえてくる古くて新しい「音」がある。隣の島、カラフトは樺太アイヌの弦楽器トンコリの生まれ故郷。遠く、カムチャッカ半島まで連なる千島列島、アイヌは海獣を求めて旅をしバラライカを楽しんだ。多民族との交流の中で揉まれ、進化していったアイヌの音楽は空を旋回する鳥のさえずり、滝壺の湧き立つ水の泡のようだ。その旋律にシベリアの祈祷師、シャーマンの焚く煙のにおい、そしてどこかなつかしい日本の原風景すらよみがえってくる。
(文:OKI)
『翼の王国』 June 2008 No.468 ”ウポポ賛歌” より引用
これは、2008年の「先住民族サミット」へ出かけた時に乗った、
ANAの機内誌『翼の王国』からの引用です。
ほんとにタイミングよく、”ウポポ賛歌”という特集記事が目に留まり、
とりあえず、持ち帰りました。
(機内誌をTAKE OUTしたのは、後にも先にもこの時だけ)
じっくりと読んだのは、だいぶ後になってからで、
何気なく持ち帰った機内誌が、今となっては、僕の宝物の一つになりました。
当時、僕は、沖縄に引っ越す直前で、
糸満で、船大工さんのお手伝いをしながら、
アウトリガーカヌーを造る仕事の見習いの真っ最中でした。
(その後、プロジェクトそのものが頓挫)
那覇から札幌へ着いた時の、気温の差の激しさは、よく憶えています。
もちろん、トンコリにはまだ興味はなく、三線をかついでの、北海道入りでした。
(二風谷で、三線を弾いいてたぐらいだもの)
写真は二風谷で見つけた、アイヌの丸木舟です。
船首と船尾に、イナウがセットされています。
Photo by Toshi
音楽というのは、この星の上で暮らす人々が、共通に持っている文化です。
楽器やメロディやリズムやテンポは、多種多様ですが、
音を奏でるという行為は、示し合わせたように、
この星の上のあちらこちらで、行われています。
アイヌの人々だけでなく、この星の上の人々にとって、
音楽は、神との対話手段のひとつであることは、間違いありません。
【NO MUSIC NO LIFE】
音楽がなかったら、この星の上に存在する意味がない
(この星には、生まれてこなかった)
OKI - ORORO RAHA @ 知床斜里
https://www.youtube.com/watch?v=QBYkzDkUBOo
K.D earth/エトゥナンカラ@2007.11.11SHIBUYA BOXX
https://www.youtube.com/watch?v=3Oz2nadfSCs
K.D earth/etunankara solo!!
https://www.youtube.com/watch?v=zTje5s-dksg
ちなみに、K.D earthの結樺健(ゆからけん)さんは、
僕が、トンコリを手にした2010年8月には、
すでに、お亡くなりになられてました…
(お会いしたかったです)
etunankara(エトゥナンカラ):アイヌ語で、出会い
PEACE
2018-05-04 22:01