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沖縄の「サバニ」とアイヌの「イタオマチプ」 [愛奴通信:AINU journal]






沖縄には、「サバニ」という名称の木製の小型舟があり、
アイヌには、「イタオマチプ」という名称の木製の小型舟があります。

その昔、サバニは、一本の琉球松の大木を刳り抜いて造る刳船(くりぶね)だった。しかし、三司官・蔡温が森林資源の保護と造林の目的から樹木の伐採を制限(1737年に始まった杣山政策)したことから、複数枚の板を接(は)いで造るハギンニ(接ぐ小さな舟の意)が造られるようになったといわれている。

ハギンニを誰がいつ考案したかということについては、明確にわかっていない。とはいえ発祥、あるいは後の一番の生産地は漁民の町・糸満であることは疑う余地はないだろう。また材料もいつの頃からか、宮崎県日南地方育成、厳選した「飫肥杉(おびすぎ)」を使用し制作するようになり、今日までその技術が受け継がれてきた。

(海の技 サバニ大工・大城清さんに聞く より抜粋)

『モモトVol.19(島の手技)』 より引用

日本列島の、南と北の小型舟、「底板 + 側板」という、
基本的によく似た構造です。
(底板と側板というのは、正式名称ではなく、僕の勝手な呼び方です)

木製の小型舟は丸木舟をベースとして、進化したものと考えられるので、
極端には違った構造にはならないはずですが、
材料の緊結の方法には、大きな違いが見られます。


サバニは「フンドウ」と「竹釘」で材料を緊結します


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Photo by Toshi

フンドウ:二つの三角形がくっついたような形状のくさびで、
材料を引き寄せるデザインになっています。
(これは糸満の西村のハーレー用のサバニを、H.28のユッカヌヒーに撮影)


イタオマチプは「縄」で板をとじ合わせていきます


ここからイタオマチプの呼び方を得た、アイヌ独特の工法となる。釘も接着剤も使用しないで、丈夫な縄で板を張り、舟の容量を大にするのだ。板をとじ合わせる力もコツも要る時間のかかる作業になる。昔はどのような材料の縄を使用したのかは古い文献にも記述がないが、舟の精巧さからみて優れた素材だと考えられる。ここでは麻のロープを使った。板はチプパリという。

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1989年、180年ぶりのイタオマチプの復元作業の様子

『アイヌ民族写真・絵画集成 2 民具』 監修:萱野茂 より引用

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イタオマチプ【itaomacip】 より引用

アイヌは、松前藩によって、それまで行っていた海外交流を、
18世紀の初頭に消滅させられます。
と同時に、海外交流のツールである舟・イタオマチプも消滅同然になります。

板綴(つづ)り舟 - アイヌ文化振興・研究推進機構
http://www.frpac.or.jp/manual/files/2002_06.pdf

製作のノウハウ・材料の詳細は、1989年の復元プロジェクトが、
資料として残されているので、今後も、復元は可能です。
ただ、事実上、イタオマチプは、現在使われていないので、
イタオマチプ本来の姿・機能としての復元・復活は絶望的です。

木製のサバニも、FRP製のサバニ・漁船に、その地位を奪われ、
本来なら、イタオマチプ同様に、
その姿をこの星の上から消していく運命だったはず…

ところが、カムイのいたずら?によって、木製のサバニは生き延びます。
(消滅するもの、継承するもの、すべてがカムイの意志)

 

サバニ帆漕レース


サバニ帆漕レース公式サイト
http://www.photowave.jp/sabani_s/

Googleで、「サバニ」で検索すると、Wikipediaの「サバニ」より、
「サバニ帆漕レース公式サイト」の方が、上位に表示されます。
(つうか、「サバニ」の検索結果の1位表示がこれ)

21世紀の今、サバニといえば、「サバニ帆漕レース」です(笑)
(レース用のカヌーとして再デビューですわ)

サバニの帆漕技術を継承する目的で、2000年の九州・沖縄サミットを記念して開催された「サバニ帆漕レース」は、その後も毎年梅雨明けの6月末から7月初めの日曜日に座間味島から那覇の間で行なわれており、県内外から年々その参加者を増やしている。

サバニ -Wikipedia より引用

糸満・サバニ「南洋ハギ」 舟大工2人、継承危機
http://ryukyushimpo.jp/news/prentry-202203.html
[琉球新報]

↑こんなニュースもありましたが、沖縄のサバニやサバニ造りは、
継承されていく方向へ向かっていると思われます。

多く大人たちの、(ビジネス的)仕掛けもあり~の、
それに賛同する大人たちも、たくさん出現し~ので、
「サバニ」にとっては、ひとまず、めでたしめでたし~

まわりが海に囲まれた、島国に住んでいる、
ウチナーンチュやヤマトンチュは、海洋民族です。
(もちろん、もアイヌも)

海遊びがポピュラーになるのが、自然な流れだと思います.
(ハワイイは、アウトリガーカヌーが州技どすえ~)

Sailing Ship Sabani 沖縄のサバニ職人
https://www.youtube.com/watch?v=T-DK5TlKD1Q

098TV #22 座間味サバニレース https://www.youtube.com/watch?v=Hy6T7ndWWt0

2012年第13回サバニ帆漕レース 座間味~那覇 女海想チーム
https://www.youtube.com/watch?v=Prwqnvfpfss

ちなみに、サバニの進水式には「シナウルシー」、
イタオマチプの進水式には「チプサンケ」と呼ばれる儀式が行なわれます。

PEACE








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