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映画「イヨマンテ~熊送り」 ~海燕社の小さな上映会2016~ [愛奴通信:AINU journal]






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【作品解説】イヨマンテとはイ(それを)・オマンテ(返す)という意味で、
熊の魂を神の国へ送り返すまつりをいう。アイヌ民族にとって、
熊は重要な狩猟対象であるとともに神であり、親しみと畏敬の対象であった。
熊は神の国から、毛皮の着物を着、肉の食べ物を背負い、胆(い)という
万病の薬を持って、アイヌつまり人間の世界へ来てくれる。
そのお礼に人間界のお土産を持たせ、また来てくださいと送り返すのだとアイヌは言う。

1977年3月上旬、このイヨマンテは行われた。
指導にあたったのは二風谷アイヌ民族資料館の萱野茂さん。

「本物のイヨマンテを覚えておきたい」というアイヌの青年たちの熱意に支えられて、祭りは実現した。

準備。山から材料の水や草を集めて、祭祀道具を作る。酒やまつりの食べ物を作る。

イヨマンテが始まる。熊は檻から出され、ヌササン(祭壇)の前に連れていかれる。
花矢が次々に射られ、最後に矢が射られる。
その前でニヌムッチャリ(クルミと干魚を撒く)をする。
アイヌの村は豊かで楽しい所だと神の国に言づけてもらいたいという願いが込められている。
またアイヌペウレプ(人が熊の役をして遊ぶ)や綱引きをして、豊猟を祈る。

ヌササンの前での前での熊の解体。肉は作法に従いカムシケニ(肉を背負う木)にかけられる。
次いで魂が宿っているとされるオルシクルマラプト(毛皮をつけた頭)をチセ(家)に招じ入れ、
火の神との対面をする。そして、夜を徹しての宴。

2日目深夜、ウンメンケ(頭の化粧)。鼻先と耳の毛だけを残して熊の頭から毛皮が取られ、
目、舌、脳も取り除かれる。そして、イナウキケ(木の削りかけを使った祭具)や麹、
笹で美しく飾る。その頭骨をユクサパウンニ(熊の頭をのせる木)にのせ、
カムイシンタ(神の乗り物)をつけ、性器をつるし、祭主のしるしをつけたパスィ(へら)をつるし、
着物を着せ、土産を持たせる。そして3日目早朝、ケオマンテ(なきがら送り)の儀式が行われる。

イヨマンテは、アイヌの自然観、生命観が凝縮したまつりである。
生命体である人間と他の生命体である動物との対峙。
そこには、人間の信仰、文化の原初への啓示がある。

「イヨマンテ~熊送り」(制作:民族文化映像研究所/1977年/103分)

海燕社のFacebookページ より引用

この映画、ものすごい刺激を受けました。

いろんなことを考えたので、少し整理してみます…
(う~ん、整理になっているのかどうか)

僕が、この映画から感じた萱野茂さんの思いというのは、
(あくまでも僕の想像ですが)
儀式を正確に残すことよりも、

スピリットを継承することを重視したまつりにしたかったのでは?

極論ですが、僕個人としては、
「イヨマンテ」の儀式は、万が一なくなったとしても、
「イ」を「オマンテ」するというスピリットは、
絶対に残さなければいけないものだと思ってます。

昔の先人たちは、口頭で儀式を継承していくスキルがあったけど、
今の我々にはそのスキルはない。
その代わり、記録・データ化するというスキルがある。
(結局、記録するのは、当事者達ではなく、第三者によるケースが多い)

時代の流れのなかで、失われていく伝統行事・祭祀を記録するというアクションが、
良いことなのか、悪いことなのか?

儀式だけを残しても(記録・データ化しても)
スピリットがなければ、魂の抜けた仏像造りになってしまうし。

火の付いたスピリットは、世代を超えて突然登場する。

火の付いたスピリットが登場しても、
儀式の記録・データがなければ、その儀式は行えない。

【伝統行事・祭祀の記録・データ化は必要】

残った記録・データは、必要のない人は、スルーすればいいだけ…
(データは無いより、多いほうがいいのでは?)

ハワイイのホクレアプロジェクトは、
火の付いたスピリットが登場した時には、
儀式(ウェイファインディング)がハワイイどころか、ポリネシアにも残っていなくて、
ミクロネシアからの情報・データで儀式を復活させ、
儀式が復活することで、多くのスピリットに火が付いたというケース。

海燕社の主催ということで、映画「イザイホウ」の野村監督が会場に来られてました。
(僕は、イヨマンテを見ながら、ずーっとイザイホーのことを考えてました)

沖縄県久高島に伝わる神事を映し出す!映画『イザイホウ』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=hYrhxkYJuM0

ビッグ・ビジネスにはならないのを承知で、
ニッチなマーケットで勝負している海燕社さん、応援してます。
(その価値のある情報を必要としている人たちは、必ず存在します)

PEACE








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