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糸満の白銀堂の黄金言葉(くがにくとぅば) [琉球通信:OKINAWA journal]






白銀堂物語

むかし、糸満村の百姓美殿(みどん)が、薩摩と琉球を往来している薩摩武士の
真玉左衛門から金を借りたが、期限がきても金をかえすことができなかった。
左衛門が薩摩に帰国する数日前に、美殿の家に行ったが美殿はいない。
さんざん探したところ、洞窟にかくれている美殿をみつけた。
烈火のごとく怒った左衛門が刀を抜いて斬ろうとしたところ美殿は、
「私は決してあなたをだますつもりはありません。返したくても金の工面ができず、
恥ずかしくて顔むけできず、ここにかくれていたのです。諺にも、

意地ぬんじら一手引き、手ぬんじら一意地引き】

(意地が出たら手をひっこめなさい。手がでたら意地をひっこめなさい。
短期にまかせて手をだすなの意)

とあります。どうかご勘弁下さい。きっと来年こられた時はお金をお返しします」
と誠意をこめてあやまった。左衛門は理のある美殿のことばに刀を下ろし、やがて薩摩に帰った。

さて、故郷の薩摩に帰った左衛門がなつかしい家に帰ってみると、
なんと新婚間もない最愛の妻が、見知らぬ男と寝ているではないか。
カッとした左衛門は、
「おのれ、主人の留守に、ふとどき者めが」と一刀両断にしようとしたが、
ふと美殿の「意地が出たら手を引っこめなさい………」ということばを思い出し、
刀を納め、落ちついてよく見ると、男と見えたのは男装した彼の母であった。
訳をきくと、左衛門の留守の間、女二人では不用心と、母が毎日男装して嫁と寝ていたという。
もしも、美殿のことばがなければ、母と最愛の妻を殺していたかもしれない。

美殿への深い感謝の念をもって翌年琉球にきた左衛門は、大恩人美殿をたずね、
礼を言った上、借金を帳消しにしようと申しでた。
ところが美殿は金の工面がついたのでぜひ金を返したいという。
「受け取れ」、「受け取れない」、の押し問答のあげく
それではこの金で昨年美殿がかくれていた洞窟の前に、感謝の御堂を建てようということになった。

これが今に残る白銀堂である。

『沖縄の昔話』 朝日矢商事(株)発行 より引用

白銀堂の裏のお山って、プチせーふぁーうたきっぽいです。

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Photo by Toshi

2007年4月28日、ハワイイのホクレア・クルー達は、
白銀堂にお参りし、日本航海の安全を祈願をしています。
(翌日の29日に、糸満を出港しました)

カメラを構えている、クルーのカイナの横に建っているのが、
この黄金言葉(くがにくとぅば/ことわざ)が刻まれた石碑です。

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Photo by Toshi

PEACE








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